いすみ米と旬のいすみ野菜のコラボ「まかない食堂 どらかっつぁん」
いすみ市中心街から車で30分ほど。外房有数の人口集約地である茂原市のレンタルスペース「LaCRAS(らくらす)」で毎月第三木曜日に開催される、「おさんぽマルシェ」。
5月19日の木曜日、LaCRASの広々としたキッチンに立つのは「おにぎり工房かっつぁん」の“かっつぁん”こと坂本勝彦さんと、イラストレーターでゆるゆるマクロビ料理人の“どら”ことせきねゆきさん。お2人でコラボ食堂「まかない食堂 どらかっつぁん」として出店中です。
お品書きは、いすみ産の旬の野菜おかずといすみ米のおにぎり、そして旬の新玉ねぎのみそ汁が付いたワンプレートランチ。今年1月に第1回を開催し“奇数月の最終水曜日”にかっつぁんのお店で開催してきました。今回は初の出張出店だそう。
おかずを担当するどらさんは、いすみ市のマクロビオティック(玄米菜食)のカフェ&宿「ブラウンズフィールド」でスタッフのごはんを作る“まかない担当”として働き、マクロビレシピ漫画本『ゆるゆるマクロビ生活 かんたん玄米菜食コミックエッセイ』(KADOKAWA/メディアファクトリー)を出版し、近隣のイベントに時々出店しマクロビごはんを提供してきた経歴を持っています。 「旬のいすみ野菜をたくさん使ったおかずを食べて、いすみの豊かな自然を味わってほしい」そう話すどらさんが作るメニューは、その時々の季節ならではの飾らない気取らない“まかないメシ”。
今回はいすみ産の野菜を余すことなく調理した主菜1品、副菜3品の献立です。
主菜は「そら豆ハンバーグ 新玉ねぎソース」。ひと口食べると旬のそら豆の香りが口いっぱいに広がります。
「そら豆をこんなに贅沢にいただけるのは今この時季だけ。なるべく丸ごと、薄皮もついたまま、歯ごたえを楽しんでほしい」と、どらさん。
続いて副菜1品目は「春キャベツの豆乳クリーム煮」。こちらも旬の春キャベツと新玉ねぎの甘味を存分に味わえる1品。ホワイトソースはマクロビ料理でよく使われる豆乳で作られています。子どもから大人まで色々な人に受け入れられやすい、油分を控えた軽めの味わいです。
副菜2品目は「大根春菊外葉キャベツのふき味噌あえ」。農薬を使わず栽培されたからこそ安心して食べられるキャベツの“外葉”まで無駄なくいただける1品。
ふきのとうが出始める春先に仕込んだふき味噌は文字通りふきのとうと味噌を叩いて合わせただけ。新鮮なのであく抜きをする必要がありません。
そして副菜3品目。彩り野菜のレタス、にんじん、紫玉ねぎ、さやえんどう。いずれも生のままや軽く塩もみ、サッと塩茹でなど、野菜そのものの味を味わえます。
以上4品揃ったお皿の上には、いすみの春から初夏がいきいきと咲き誇ります。
自らの厨房を使ってもらい、料理人と共にコラボを開催
まかない食堂 どらかっつぁんの発案者は、いすみ米の普及を目指しておにぎりを握り続けるかっつぁん(命名はせきねさん)。
おにぎり工房かっつぁんの厨房は10畳ほど。おにぎり屋としては広く、これをもっと活用しようと、店舗なしでイベント出店をしている友人知人向けのレンタル厨房を思いつきました。
「(どらちゃんは)良い料理の腕を持っていながら、自身の店を持っていない。自分の店の厨房を使って料理を作ってもらって、何かできないかと誘ってみたんだ」そう話すかっつぁんが近所に住むどらさんに声をかけたのは昨年12月でした。
「店舗開店に必要な『営業許可』を保健所から取得するためには専用の設備が必要となり、数10万単位のお金が必要になる」かっつぁんはご自身の経験を踏まえて話します。都内などに比べて人口の少ない房総半島。投資額と売り上げ予想を天秤にかけ、イベント出店などを中心とした“無店舗営業”を選択する人は少なくありません。
イラストレーターと二足の草鞋を履くどらさんもその1人。それでも「どこか料理を作って提供できる固定の場所がほしい」という思いがありました。かっつぁんからの誘いを受け、実際にコラボ活動を経験してどらさんはこう話します。
「かっつぁんは顔が広いので、自分では呼べそうにないお客さんにもお店にお越しいただき、料理を食べていただくことができました。とてもありがたい。これからも自分に無理のない範囲で、お互いに良いと思える形を作っていけたらと思います」。
これに対してかっつぁんも「自分は料理人じゃないから、おかずを提供できるのはすごくありがたい。おにぎりだけでなくおかずも販売することで、より多くのお客さんが店へ足を運んでくれる環境を整えていきたい」と話します。
「今後も様々な場所で開催していきたい。詳細は『まかない食堂 どらかっつぁん』のfacebookページで告知していきますので、忘れずにチェックしてください」 。
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