心通うあたたかい場
朝市に行く前は「最近は出店者が2〜3店舗しか出ていなくてさみしくなった」と聞いていました。いざ行ってみると出店数こそ少なかったけど、場としては心通うあたたかな所だったというのが私の印象です。
お店に行くと「どこから来たの〜?」と声をかけて下さり、あたたかい飲み物を入れて下さいました。「この椅子に座って飲みなさい」、「お餅焼くけど食べる?」と色々お気づかい頂き、皆さんのあたたかい心に触れる瞬間でした。
それをお客様はもちろんのこと、出店者にもふるまっていました。出店者、お客様という垣根をあまり感じなく、皆が心地よく過ごせるような空気になっていました。
しばらくして金物屋にお客さんがやってきて、買い物をして帰って行かれました。
店主とはもう長いつきあいのようで、
「いつもこうやってもう何年も買いにきてくれるんだ」
と店主の林さんが話して下さいました。
「この辺では俺のところの鍬は人気なんだよ」
と人懐っこい笑顔と気さくな話ぶり。他のお店で買い物をしたおばあちゃんも、「ちょっと林さんに顔出してくるわ」といってお話されていました。
余談ですが、家に帰り義母に朝市のことを話すと「この辺では金物は朝市で買ったほうが良いってみんな言うね〜」と言っていました。「口コミ」力ですね。
刃物屋の林さん。包丁の魅力をひとつひとつ丁寧に語ってくれます。 |
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君塚さんのお店。近所の方との憩いの場になっています。 |
お漬物とお餅、野菜を売る君塚さんのお店の前には椅子が置かれていて、買い物に来た方も、君塚さんに会いに来た方もここに座って井戸端会議をしています。
「最近どこどこの家のあの人が〜なんだよ」などなど、女性はいつだっておしゃべりが好きなようです。一見他愛もない会話の中にも予期しなかった情報や必要なメッセージが含まれていて楽しいものです。
私も金物屋の林さんと会話している中でなんと君塚さんと遠い親戚だという事が判明!驚きました。
ここに来る人は常連さんがほとんどで、ほとんどの方が顔見知りなんだそうです。
「寒いのによく来たな〜」なんていいながら、他のお客さんが来ると、「今日は〇〇はいってるよ〜」と言ってお客さんの求めているものや嗜好をすでに皆が把握している様子でした。
ふとすると先ほどの金物屋のおじさんが100円玉を他の出店者さんへ配っています。
「なぜ今100円渡したんですか?」と聞くと、最初にものが売れたお店が他のお店に渡すことになっているんだそうです。
ちょっとしたことかもしれませんが、喜びを共有するような、人情を感じる朝市ならではのおもしろい仕組みがありました。
常連様とお話する八百屋さん。買い物の後は井戸端会議が始まります。
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