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まきべ〜のおでかけ日記
いすみライフマーケット
NPO法人 いすみライフスタイル研究所

自分生活@いすみ

第4回
やさしい、美味しい、周東さんの古民家カフェライフ

文章:大花慶子 写真:吉野桂司、大花慶子
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周東澄絵さん(39才 埼玉県出身 カフェオーナー、2003年移住)
亨さん(夫48才)、ののちゃん(長女17才)、ふう君(長男中1)、むう君(次男小4)、あめちゃん(次女4才)
ホームページ http://www.ochichiya.com/
 
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今回は、田園の中に静かにたたずむ古民家で、自然食を提供するカフェ「おちちや」を営む周東澄絵さんをご紹介します。

田園の中にたたずむ古民家カフェ

なだらかな山に囲まれた田園風景と、古民家があちこちに残るいすみ市上布施。田んぼの真ん中にぽつんと立つ木の看板を目印に進むと、築300年の大きな古民家が見えてきます。
ここが今回お話を伺った周東澄絵さんが家族とともに生活している家であり、カフェでもある「おちちや」。

古民家カフェ「おちちや」

広い敷地内には、他には大きな蔵や祠もあり、犬、猫、ブランコなどが目に飛び込んできます。
カフェスペースの中は、お菓子はもちろん、お茶などの自然食品のほか、帽子や小物、ポストカードなどの近隣で活躍する作家さんの商品なども置いてあります。
また、一角には絵本コーナーや積木もあって、子連れでも退屈しないように配慮されています。

おちちや店内1  おちちや店内2
おちちや店内3

「こんな空間を作り出せるなんて、きっと丁寧で心優しい方なのだろう」ふとそんなことを思うほど、ここでは、オーナー一家の生き方そのものが家とカフェづくりに反映されているようです。

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子育ては澄絵さんの原点

澄絵さんは埼玉県の嵐山に生まれ育ちました。しかし、目的もないまま進んだ高校は2年で中退。やっと自分の好きな生き方をしていいと思えるようになった18才の時に、有機農業家の金子美登(よしのり)さんに出会います。
金子さんが運営する「霜里農場」に通い、研修生として有機農業を学びます。

おちちやの原点 そして、「島に呼ばれるような気がして」と沖縄・八重山諸島の竹富島に行き、ユースホステルに住み込みで働くようになりました。その時に知り合ったのが現在のご主人・亨さん。
その後2人は結婚し、島にいる3年の間に長女ののちゃんを出産します。
「ほら、あそこに写真があるでしょう?あれは私が竹富島で長女におっぱいをあげている姿なの。どう育てていいかわからないし、おっぱいをあげるのも必死で。でも、あれが私の原点なの」見ればモノクロの写真が古民家の中に溶け込んでいます。

その後、一家は澄絵さんの実家の埼玉に戻り、ふう君、むう君の2人の男の子が産まれました。
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「玄米菜食」からお菓子づくりへ

「おちちや」で出てくるものは、すべてお肉やお魚、乳製品などの動物性たんぱくや砂糖を使わない完全菜食。
素材も、可能な限り国内産の無農薬栽培のもの、または海外のオーガニック認定のものを選び、地元の農家さんとのつながりを大切にし、顔の見える安心な素材を使っています。
全焼した家
おちちやランチセットの玄米ごはんのパイ、スコーン(クリーム&ジャム)季節野菜の料理2品、三年番茶

これは、次男のむう君がアトピーで生まれたことから、体質改善のためにはじめた食事法がきっかけでした。
当時、子育てや主婦業で忙殺されていた澄絵さんの唯一の楽しみは子供たちにお菓子をつくること。
ところが、アトピーを改善していくには、卵も乳製品も砂糖も控えた方がよい。そこで、何度も試行錯誤しながらできたのが現在のおちちやが提供する からだにやさしいお菓子なのです。

「もう19才で主人に会ってすぐ結婚して、4人も子供を産んで育てているでしょう?だから、20代は家のこと、子供のことで精いっぱいだった。それで30才になって『自分の』生きがいをもちたい、と大好きなお菓子づくりを仕事にしたいと思ったの」
お菓子づくりをはじめたのは、埼玉の実家を離れ、広島で古い家を借りて住んでいた2年半の間。
「上達するのはとにかく食べてもらうこと」という言葉に励まされ、最初は周囲にいるお友達から注文を取り、やがて口コミや自然育児の雑誌などでどんどん広がっていきました。

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房総の地で古民家カフェをオープン

広島の家が老朽化で住むことが難しくなり、新しい移住先を探していた時に、この古民家に出会います。
古民家のもつ独特の雰囲気と周囲の風景の美しさに感動し、借りることに決めました。
これには、鴨川の古民家に住みながら農的ライフスタイルを送っているベジタリアン料理研究家の鶴田静さんに憧れていたことも理由のひとつでした。
そして、住めるようになるまで数カ月、カフェにするまで1年以上かけて、ご主人の亨さんが一人で古民家を修復したそうです。
東京に住んでいる大家さんからは、「土地と家を手入れしてきれいに使ってもらえれば」ということで、家賃は月1万円。庭の手入れや家の維持管理の大変さを考えると、単純に安い!と思うのは早計なのかもしれませんね。
風格ある古民家と、そこで味わえる素材にこだわったおいしいランチは評判となり、雑誌などにも紹介されるようになりました。

ただし、営業日は土曜日だけ。
これはきちんと休みの日を子供達と一緒に過ごすためでもあります。

平日は、朝3時には起きて下準備をし、子供たちを学校に送りだした後は、東京の自然食品店や個人から注文を受けたお菓子を作り、発送します。
また、月1〜2回はイベントに出店。その場合は2時に起きることもザラ。澄絵さんは車の運転ができないので、ご主人が運転して一緒に販売する。
そして、年に数回はお菓子教室を開催。
「大変だけど、お菓子づくりを止めようとは思ったことはないの。どうしたらおいしく食べてもらえるか、満足してもらえるかと工夫して作っていくのが好き」と笑います。

周東澄絵さん
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地域の活性化の場として

実は澄絵さん、子供達が通う近くの小学校の子供の数がどんどん減っていることに危機感を感じています。そこで、このカフェで地元の子供達を対象にしたお菓子づくり教室を開催したり、自主保育サークル「やかましむら」に開放したりと地域の交流の場として積極的に活用しています。

お菓子づくり教室
おちちや公式HPのブログから

「布施小学校は、地域が運営しているので子供達ものびのびしていて、とてもアットホームでいい学校なの。Uターンや移住でこの布施地域にも子育て世代が住んで欲しい」と願っています。

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地域の仲間とともに…「古くて新しい」ライフスタイル

2010年夏には、Webサイトも立ち上げ、注文販売を本格化するまでになりました。
澄絵さんは、「ここまでやってこられたのは、地元で同じ志をもった仲間に応援してもらっていること。それが一番うれしい」と言います。玄米菜食やマクロビオティックなどの自然食を理解してくれる人は少ないけれども、それを理解し、応援してくれる仲間には心から感謝しているそうです。

周東澄絵さん

澄絵さんは、「食べる人が元気になりますように」、「健康で幸せになりますように」と愛を込めながら、ひとつひとつ丁寧に作っています。
チラシさえも、手描きで文章を書き、自身で描いたイラストが入ったものを作成。看板やラベル…なにもかもが手作りの温かさに溢れています。

おちちやチラシ  おちちや
  
おちちやお品書き

あえて、こんな風に手をかけて心を込めて販売することは、大量生産のモノに溢れ、殺伐とした今の時代に必要なことなのかもしれませんね。
古民家に住んで自然食と手作りにこだわり、地域と共に生きる生き方。今となっては、「古い」ようで逆に「新しい」生き方のように思えます。
澄絵さんの生き方そのものが、提供する食事であり、お菓子であり、古民家のカフェの空間。
時代の最先端を感じさせるものが、ここ「いすみ」の母性溢れる1人の女性からも生まれているのを感じました。

+いのちをはぐくむ おちちや
千葉県いすみ市上布施1129
電話0470-66-0980
11:00〜16:00(土のみ)
http://www.ochichiya.com/

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