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まきべ〜のおでかけ日記
いすみライフマーケット
NPO法人 いすみライフスタイル研究所

癒し・パワスポめぐり

第12回
隠れた憩いの場、津々ヶ浦とその周辺

文章、写真:田中藍子
インタビュー協力:大谷 秀美さん 地元釣り師の方々
参考文献:岬町史
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ひっそりとたたずむ「夫婦岩」

以前、スタッフおススメでご紹介した「ワイルドキッズ岬オートキャンプ場」の第2ゲートを出たところ、目の前にある隠れた癒し・パワースポットをご紹介します。

津々ヶ浦の夫婦岩

いすみ市岬町中原、昭和堰の真東ほどに位置する海岸に、大きな岩と小さな岩が並んでそびえるのが見えます。
この二つの島(岩)が鎮座する浜を「津々ヶ浦」といい、人々の憩いの場所となっています。 私が訪れたときは休日ということもあってか、海釣りを楽しむ人々、水遊びにきた親子、スキムボードというマリンスポーツに興じる人、にぎやかでした。

週末の「津々ヶ浦」もともとこの場所は昭和30年代まで津々ヶ港と呼ばれる浜の港で、地元漁師の船が浜に停泊していました。
漁の時には女たちが男たちの乗った船を浜から押して、男たちを漁に出したそうです。

このロケーションは雄大で、昔から時代劇をはじめとする映画やCM撮影などで使われてきたそう。清川虹子、谷隼人など往年の名俳優たちも、撮影のためにここを訪れたそうです。

地元のある釣り人の話では、ある時はハワイの風景撮影をするためにロケに来た撮影隊もいたとか。 当初、私が「雀島」だと思っていた津々ヶ浦の二つ岩、地元の人に話を聞いていくうちにどうやら違うということが判明しました。

実は「雀島」というのはエリアの名前で、地元の人々はこの津々ヶ浦のもう少し北のエリア全体を指して雀島と呼ぶそうです。この二つ岩は、地元の人からは「親子岩」とか「夫婦岩」と呼ばれています。

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時のうつろいと共に変化する地形

大谷さんが撮影した夫婦岩この二つの岩は、元々ひとつの岩でした。

今では暗礁となってしまった部分も、元々同じような岩がいくつかあったそうです。元々岩があった暗礁部分には白波が立つので、その場所が今でも確認できます。

30年ほど前までは陸続きで、他にも同じような岩があったそうですが、時間とともに他の岩は消失してしまい、今あるふたつの岩も以前に比べるとどんどんちいさくなっているそう。

外洋に接する房総半島は、波が荒いことでも知られています。
その荒波にもまれ、削られた岩肌は、その激しさを物語っています。

「特に岩の北側の浸食が激しい。二つの岩の様子は、私の子ども時代とはずいぶん違う」 。
地元で生まれ少年時代を過ごした50代の大谷秀美さんは、震災以降、津々ヶ浦やその沿岸で朝日の写真を撮り続けています。

彼は、この移り変わっていく津々ヶ浦を特別な想いで見つめます。
「ここに来ると、先祖や亡くなった私の娘に思いを馳せる。ここは朝陽の時空を感じられる場所。形あるものはいつかなくなっていくものだが、魂は永久に続いていく。森羅万象という言葉が心をよぎります」 。

大谷さんの撮り続ける津々ヶ浦の朝陽には、神秘的なものがあります。
岩の間から昇り出る日の出は、まさに時空を感じる美しさがあります。


写真上2点、大谷さんが撮影した朝陽の写真

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いすみのアトランティス・ムー伝説は、太平洋ならでは!?

この周辺には、ミステリアスな伝説もあります。

「沖原村」のお話。
「津々ヶ浦」の南にある、今も波によって浸食されているという太東崎。

この沖では昔、船の難破が多かったそうです。これは海底に岩があり、この付近が浅瀬になっているためであるといいます。

伝説というだけあっていつ頃かは不明ですが、今の太東崎の続きがもっと長く突き出ていたといいます。
その先に平和な村があり、ここを沖原村と言ったそうです。ここの住人は津波や浸食のため(一説によると、元禄地震の津波の際)この地を逃れ、太東崎から西に直線で10キロほど行ったところにある集落、現在のいすみ市荻原へ移り住んだとか。
荻原という地名も、もとは「沖原」からきているそうです。 まさに「いすみの失われた大陸アトランティス・ムー」。
こんな伝説があるのも、この辺りの昔からの浸食の激しさがあるからでしょう。

この海に沈んだと言われている一帯は、今では「器械根」と呼ばれる魚介類が豊富に獲れる漁場の一部になっています。

津々ヶ浦の崖この津々ヶ浦とその周辺の魅力は、その自然の雄大さ・・激しさとはかなさにあります。
スピリチュアルなことに興味のある人たちは、津々ヶ浦を隠れたパワースポットと呼んでいるそうです。

荒々しく打ち寄せる波、消えそうながらも凛と立つ二つ岩、その二つ岩の頂上にわずかに残された木々の生命力。
ここに立つと房総の海の強さを肌で実感できる。そしてゆっくりとしかし確実に刻々と形を変えていく地球の一部分を、この岩と南北にそそり立つ崖から見ることができます。

以前あった他の岩が辿ったように、いずれなくなってしまう運命のこの二つ岩。
この自然の前では人間は小さく無力、ここに立つと日々の苛立ちや悩みをしばし吹き飛ばしてくれます。

地元の人たちが、ちょっとした時に訪れる憩いの場。
津々ヶ浦が形を変え二つ岩が消えてしまう前に、自然の諸行無常に身を委ねに、この大自然に会いに行ってみてはいかがでしょう。

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